今回の芥川賞は話題性が高くて良かった

まずは受賞者。
朝吹真理子三井財閥末裔の慶應院生お嬢さま。
前作『流跡』はBunkamuraドゥマゴ賞受賞。
西村賢太は父親が強盗強姦で逮捕後、両親離婚と家庭環境が複雑な中卒フリーター。
受賞記者会見で「受賞の時は?」との質問に
「自宅で、そろそろ風俗いこうかなと。いかなくてよかったです」


今回から選考委員になった、芥川賞最多落選記録保持者島田雅彦
島田氏が芥川賞にノミネートされていた1980年代の出版界は今と違って不況ではなかったので、島田氏がノミネートされた回には受賞作なしの回も。
芥川賞創設は新人賞なので、純粋に作品の質のみならず、
作家としての資質(将来性)も含めて考慮されなければならず、
純文学作家として長くやっていくためには「芥川賞作家」という看板がないよりはあった方が断然いいので、支援的側面も強い。
そういうことを勘案すると、芥川賞をなぜ村上春樹島田雅彦に与えなかったのか、という問題がある。
その為、芥川賞受賞してない島田雅彦(作家歴は25年以上。純文学作家として学生の頃から半世紀以上活躍するケースは稀)が
「結果的にオレの思惑通りになってよかったよ。都知事は意外と謙虚だったよ。彼が謙虚になれる唯一の場だったりして」とツイートした意義は深い。

出版不況の最中、純文学を盛り上げていく為には話題を提供していかなければならないので今回は話題豊富で良かった。
これで出版社が潤い、小さな市場にある翻訳文学に投資するお金が増えるかなと。
自分はガイブン好きなので。


最後に、受賞作に触れると、
朝吹真理子の受賞作『きことわ』は読んでいないのでよくわからないけど(『流跡』は積読)、
西村賢太の『苦役列車』は、西村氏本人を投影したダメ男の私小説
西村本人は「書き方の問題なんですけど、2:8でフィクション。フィクションが8です」と述べている。
第144回芥川賞直木賞受賞記者会見はニコニコ生放送でやっていて
視聴者が最大4万以上いて、盛り上がっていたので(特に、西村氏の時には)売上に繋がると思われる。


西村賢太は過去の芥川賞ノミネート作もお薦め。